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「阿古屋」とは、源平の時代に源頼朝の命を狙う平家方の悪七兵衛景清の恋人だった傾城の名前です。劇中、景清を捜す源氏方の武士に拷問に掛けられ、景清の所在を白状するよう責められる場面で、自分が知らない事の真実を証明する為に、琴・三味線・胡弓を次々に奏でて心の清んだ潔白を見せる、と言う設定です。しかしこの3つの楽器を巧みに弾けて、しかも同時に複雑な心理描写を表情・仕草で表して見せられる役者はそうは実在しません。名優 故 中村歌右衛門丈はこれを得意としていました。そして歌右衛門が「阿古屋」が唯一演じられると後継を託したのが玉三郎です。現在は玉三郎の他に「阿古屋」を演じられる役者は育っていません!
傾城(花魁=遊女)ですから、姿形が美しくなくてはいけません。そして役柄から、儚(はかな)さと同時に命を賭した、凛とした風情を漂わせなくてはなりません。しかも演技しながら琴を弾き、三味線を弾き語り、胡弓も美しい音色で奏でます。当代で演じられる役者は玉三郎しか居ないので、「阿古屋」が出る時は大人気!入場券はプラチナチケットとなります。
当日6月18日(月)は幸い曇で、東京-京都日帰りの旅なので、ハンドバッグだけを持ち軽装で出掛けました。公演は15:00で、「壇ノ浦兜軍記」(阿古屋)と舞踊の「傾城」です。
| 南座ロビーの玉三郎のパネルの前で、御一緒した友人と3人で。 |
| 化粧した玉三郎丈が余りに美しく、側で写る私は恥ずかしいですね~。 |
| 歌舞伎好きの私ですが、実は京都南座は初めて! |
| 東京の歌舞伎座より小さいですが、内装を替えて日が浅いのでしょうか? 四条祇園を徘徊する時、南座の前は必ず通るのですが、外観の古さに比べ中の様子は新しくきれいでビックリ。 |
さて、上演中は勿論撮影禁止。それはそれは美しい玉三郎でした。劇場内で同時に「玉三郎 ”美”の世界展」を開催していました。玉三郎の当たり役のパネルと本物の着用された衣裳の数々が展示されていて、その衣裳の豪華さは息を呑む程! 圧巻でした!!
凝り性の玉三郎ですから、生地も刺繍もデザインも全て可能な限り、その分野で当代随一の技能者ばかりに頼んで製作してもらっているので、舞台衣裳を超えていました。
| 「伽羅先代萩」の正岡 |
| 正岡の豪華な打掛 |
| その刺繍の技の豪華さ! 全面総刺繍です。 |
| 同じく「伽羅先代萩」の正岡 |
| これが帯地より大変です! |
| 「阿古屋」の玉三郎の立ち姿。 |
| 「籠釣瓶花街酔醒」の八ツ橋 |
| その傾城の帯 |
| 「助六」の揚巻 |
| その傾城の帯 |
| 「傾城」の傾城 |
| その着物 |
| 「熊野」の熊野 |
| 熊野の唐織 |
| 「助六」の揚巻 |
| 揚巻の打掛 |
| 「信濃路紅葉鬼揃」の鬼女 |
| その唐織 |
その他に玉三郎が公演ごとに楽屋に持ち込む豪華な鏡台セットの展示がありました。
| 鏡台には豪華な漆と螺鈿で細工がされています。 |
| 実際に使用している玉三郎。 |
| 鏡台の上には化粧道具が色々。普通の化粧道具とは全く違っていました。 |
| これは中国公演の時の衣装 |
終演後、裏地桂子さんの紹介の「三多」で美味しい京料理を頂き、家路に付きました。



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