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2012年2月23日木曜日

また会「黒部紀行」 その①

私達「裕ちゃん世代」は石原裕次郎主演の「黒部の太陽」が映画化された1968年から間もなく45年(2013年)を迎えるに当たり、今まで封印されてビデオやDVDとして世に出されてこなかった名作が、その記念年に出される前に実際に「黒部ダム(通称:黒四ダム)」を見ておきたいと思い、実行することにしました。あの迫力あるダムの放水は10月中旬で終わり、紅葉も11月中旬で終わってしまう為、ベストシーズンには少々遅いながらも思い立ったが吉日に違いありません!

幹事は一度行ったことのあるテケが名乗りを上げてくれました。が、一泊二日を最大限に有効活用したい欲張り「また会」に相応しい旅程を作り上げるのに、何回も旅行代理店に足を運んで苦労を掛けました。途中見かねた範子ちゃんも助っ人に入り、そしてピカピカの「晴れ女」ワンちゃんの神通力もその威力を発揮して黒部ダム観光のベストシーズンは過ぎていましたが、沢山のラッキーに遭遇出来て楽しい旅となりました。


苦労した旅程表です。
一日目は東京から、「黒部」と言えば秘境をコトコト登るあの有名な「トロッコ電車」に乗る為に「宇奈月温泉」まで。
二日目は「立山黒部アルペンルート」を沢山の種類の乗り物を乗り継いで20世紀最大の「大事業」と語り継がれる「黒部ダム」そして「黒部の太陽」で映画化された難工事の「関電トンネル」を経て長野経由で東京に帰還する長い一日です。


さて、東京駅に集合して9:28発上越新幹線で越後湯沢まで。そこで北陸本線「はくたか6号」に乗り換えて魚津まで行きます。


東京駅に入線した私達の乗る最新型の上越新幹線。東京は11月でもまだ暖かく…。

二階建ての車両でした! 昔スキーに越後湯沢に通った頃から久し振りなので車両の進化に遂ハシャギました♪
旅と言えばお弁当です。品川駅のEcuteでワンちゃんと買った「なだ万」自慢のお弁当。
鶏そぼろ御飯と鯛のデンブに色々おかずが入って美味でした!!


越後湯沢で北陸本線に乗り換えるとやはり雰囲気がガラッと変わり、降り立った「魚津」は御覧の通り、駅前広場も人気のない、もの淋しい裏日本の様子。大都会に長く住み慣れた私達にとってやはり12時半(正午)にも関わらずこの薄暗さは「裏」日本。


JRから富山地方鉄道の「新魚津」駅へ。
徒歩7分で新魚津駅に無事着けてホッ。




駅のホームに着いてみれば、戦後間もない世代の私達には何か懐かしい、素朴な見慣れたホームの原風景♪ 嬉しい笑顔がこぼれます。




13:15に宇奈月温泉に着いて、世にも不思議な事件が起こりました!
トロッコ電車に乗る前に荷物を預けに予約した宇奈月ニューオータニホテルに行ってみると、宿泊予約が無い! しっかり者の範子ちゃん、ワンちゃん、そしてテケはフロント係の「お泊まりの予約がありません」の言葉に耳を疑いました。だって旅行代理店の作った旅程表にそう書いてあります!!「ウソッ、ウソッ、ウソッ」と口々に言ってもそうなのです…。
しかしフロント係の勘で見事予約したホテルが見つかりました。「宇奈月国際ホテル」から無事迎えのバスが来て、私達はチェックイン出来ました。しかもビッグな名前のニューオータニより何やらグレードの高いホテルの様です。

宇奈月国際ホテルでは今晩から将棋の「竜王戦」が開催される格の高いホテルでした。

竜王戦はNHKテレビで全国に放映される将棋のビッグ大会です。


真っ青になった事件が無事解決して、14:14発のトロッコ電車の乗り場に到着した時は、御覧のように「ニッコ満笑顔」です。



さて、ここで黒部峡谷鉄道、通称トロッコ電車についての豆知識を御披露しますね。
黒部峡谷は昭和9年に中部山岳国立公園に指定されましたが、北アルプスの中央、鷲翼岳に源を発し、長さ86km、標高差3000mを流れ下る黒部川上・中流域に切り立った深いV字峡を形成する大峡谷で、浸食によって深く刻み込まれた八千八谷は人の近付くのを拒絶する秘境中の秘境でした。平均斜度36度と非常に勾配が強く、30度~45度の部分が全体の70%もあるので早くから(昭和初期)電源開発が計画されて来ました。黒部第一発電所から第三発電所まで、冬は豪雪地帯になるこの秘境、難所を建設資材と建設工事の人々を輸送する手段としてトロッコ軌道は敷かれました。下流から上流の第三発電所のある終点の欅平まで徐々に軌道を延ばし、全線開通したのは昭和12年の事です。

当時は、電力会社の専用鉄道「黒部軌道」では、この秘境景勝地を探勝する一般人が絶えることなく、その希望の多いことから命を保証しない前提で便乗を許していました。しかしお客様の増加と地元の強い要望で、昭和28年11月に地方鉄道法による営業の免許を受け、昭和46年5月に黒部峡谷鉄道と名前を変えて現在に至っています。

映画「黒部の太陽」には最上流の黒四ダムを新しい大町からのルートで建設して昭和36年に完成させる苦難の工事を描いたものですが、その映画の中で三船利郎や宇野重吉親子が黒三現場をトロッコ電車で視察するシーンがあるそうです。





ホームに停車していた実際のトロッコ電車

また会 「黒部紀行」 その② トロッコ列車

現在観光用になったトロッコ電車は赤い機関車にひかれて色々な車両が混じって編成されています。一番トロッコの名にふさわしい、窓が無く座席は4人掛けの横一列の普通客車(上記の写真)から特別客車で開閉する窓が付いた囲いのある特別列車(360円増し)、そして今回私達が乗車したリラックス客車(520円増し)等々。幹事のテケ様のおかげで座席は進行方向に転換出来る一列2人と1人の3人掛けでした。前もって予約が必要なんです。さぁ、出発!


トロッコらしい車両を見つけてハイ、ポーズ。私達が実際乗ったのは囲いのあるリラックス客車でした。
童心に帰ってワンちゃんもハイッ、ポーズ。

日本一深いV字峡谷を縫うように走るトロッコ電車は、宇奈月から終点の欅平まで20.1km。くぐるトンネルは41.橋を渡ること21回。手付かずの秘境。大自然に触れる小さくて大きな旅です。


宇奈月駅を出発してすぐ見える「新山彦橋」。沿線で最も長く166m。列車の音が山彦となって温泉街に響くことから、この名が付きました。

峡谷には名残の紅葉も見る事が出来、手付かずの大自然の美しさに息を呑みました。

「宇奈月ダム」  2001年に完成した黒部峡谷で一番新しいダム。排砂ゲートが特徴的な、洪水調査並びに発電等、多目的のダム。


同じく、「宇奈月ダム」のアップ写真


まるでライン川のお城の様に見えますが、これは「新柳河原発電所」なんです。幾度と無く洪水に見舞われる黒部川の治水の為に、「宇奈月ダム」が作られ、平成5年にこの新柳河原発電所が設置されました。

「猿専用吊り橋」 ダムの貯水後も猿が対岸へ移動出来るように造られました。


「仏石(ほとけいし)」 天然の石が仏様の様な形をしていたので、地元の人が赤い頭巾と衣を着せました。


仏石をズームアップしてみました。



トロッコ電車の区間は4つに区切られていて、宇奈月の次がこの黒薙(くろなぎ)地区です。


この地区の見所は、沿線で最も峻険な谷に架かる高さ60m、長さ64mの「後曳橋(あとひきばし)」。入山者があまりの谷の深さに後ろに引き下がったことから、この名が付きました。それから「出六峰(だしろっぽう)」という、6つの峰が背を競い合うようにそそり立っている岩山です。それから「冬季歩道」。鉄道が運休する冬期間も発電所員は様々な仕事をします。その為にコンクリートでトンネルのように歩道が設けられています。


「出六峰」


「冬季歩道」


3番目の区間が「鐘釣(かねつり)」です。


黒部第二発電所を通りました。すごい量の放水です。


「東鐘釣山」 猫又駅を過ぎると右前方に見える標高750m、全山が晶質石灰岩の、釣鐘の形をした岩山です。


この地区のもう一つの名物「鐘釣美山荘」。多くの入山者が対岸の夏の黒部の万年雪を見ながら温泉を楽しみます。


黒部川の急流の美しさを眺めながら、トロッコは終点の「欅平」に向かいます。


まだ明るいうちにトロッコ電車の終点に着けたので笑顔がこぼれます。


ちょっとポーズを作ってみました。「秘境」に来たんですから・・・。


「猿飛峡」 黒部川本流で最も川幅が狭いところで、特別名勝記念物に指定されています。3~4mの川幅で直角に曲がる流れはZストリームラインを描いて壮観な眺めです。

「奥鐘橋」 欅平駅から祖母谷(ばばだに)温泉に向かう途中の黒部川本流に架かる朱塗りの橋。34mの高さから得られる景観は絶景の一言。


人喰岩を経て祖母谷峡まで来ました。


「名剣温泉」です。欅平駅から700m。徒歩15分。岩の露天風呂が評判です。


秘境の秘湯ですね~。

また会 「黒部紀行」 その③ 宿と立山アルペンルート①

トロッコ電車の旅から戻り、宇奈月国際ホテルで長い一日の締め括りにゆっくり温泉に浸かり、用意された夕食に舌つづみ。






夕食はこんな感じ。


翌朝もピカピカ晴れ女様のおかげで上天気!






これは朝食です。ヨーグルトが付いて嬉しいですね~♪


再び宇奈月温泉駅から富山地方鉄道の特急アルペン4号で立山へ。所要時間は90分。


冬は豪雪で閉山する立山。今年は特に雪が深いので、左端の春の山開きの雪の壁はもっともっと高くなっているのでしょうね~。想像も付きません。



立山駅から上記の行程図の様に黒部ダム、そして関電トンネルを経て長野県の扇沢まで、沢山の種類の乗り物を使って標高差2000mを克服して進みます。


まず立山駅から美女平まではケーブルカーです。


一気に500m上がります。


美女平からは立山高原バスで、弥陀ヶ原や天狗平を経て室堂まで行きます。標高977mの美女平から2450mの室堂まで23km、50分の旅です。


美女平の辺りは樹齢数百年の直径1mを超える大木が沢山ありました。


弥陀ヶ原辺りからはもう、樹木も低い高山となります。


室堂に着きました。後ろに雪を頂く立山連峰が見えます。もうシーズンも終わりなので、人気は少なかったのですが、晴天に恵まれ、にわかアルピニスト気分を満喫出来ました。中国人のカップルがこの写真を撮ってくれました。日本に生まれ育って60年以上。初めての経験でしたのに、中国の富裕層はこんな奥地まで知っているのに驚きます。3~4組居ました。


後ろに見えるのが「地獄谷」です。



範子ちゃんが名画を撮りました。みくりが池に立山連峰が映るのは一日のうちで数分しかないんだそうです!!

普段はこんな感じ。



室堂に建つ山小屋(ホテル?)。夏のハイシーズンはここは人々で地面も見えない事でしょう。


日本アルプスの懐に立つ日が来ようなんて、想像もしませんでした。


さて、ワンちゃんも「貴重な写真」を撮りました。天然記念物「雷鳥」のつがいの写真です! この辺りに雷鳥が棲息していることは知られていますが、実際に見られることは稀だそうです。私達も図鑑でしか見たことのない本物に遭遇して大感激でした。!

そんなラッキーな経験の後で、室堂山荘で牛丼とうどんのランチを頂きました。ここもシーズン中は満員なのでしょう。

立山はもう降雪のシーズンに入っていますから、静かでほとんど人は居ませんでした。